岡崎の住宅
岡崎の住宅
築数十年になる在来木造住宅の増改築。
その外壁に家具や植物が置ける大きい出窓のような部屋を増築した。
既存建物の窓は取り外され、そこへ通り抜けるための出入口になった。
"出窓のような部屋"は、透明ポリカ波板で囲まれ、外の環境が柔らかく映り込む。
そこに植物や家具をおいて温室と生活が混在したような薄い部屋をつくりたいと考えた。
屋根を開いて、暑いときに熱い空気をにがしたり風が吹抜けたり。
大通りに真近な1階の窓よりもよい空気が入っている。
透明ポリカ波板を選んだのは、一般的なガラスにくらべて環境が近いように感じられたからである。
物理的な薄さ,雨のあたったときの音,質量の軽さ
手数の少ない施工法,表面積が多いことによる立体感,揺らめく映像 . .
そういった存在自体ラフであることが、ぼくを自然のなかにいるような感覚にさせる。
既存建物の窓を、撤去しただけで出入口として使用することも
既存建物とぼくたちとの関係が自然に感じられると思ったからだ。
移動は脚立。
内部の改修についても仕上げ材を撤去して下地土壁を露出するだけにしている。
室内がもし、外にいるとき感じられる「風景」になれるとしたら
ラフな建築の存在感がひとの生活感でよりいっそう見えなくなる瞬間なのではないかと考えている。