白い山のような家
白い山のような家
1階に小さな美容室をもつ住宅の計画。
敷地は三方を隣地住宅に囲まれた閑静な住宅地にある。
周辺地域にあまり高い建物がなくほとんどが2階建ての建物で
道に出れば家々の間から遠くに山並みが見渡せる位置環境だった。
地上レベルでは近距離に横隣の家々が迫りくるように建っていたし
敷地奥の隣家とアパートの居室開口は計画地側に開いていたので
そのような囲まれた状況に対してどのように開放的なスペースがつくれるのかを考え始めた。
たとえば森で覆われたやまの中を歩いていると
外だけれど外部からやわらかく包まれたように感じられる。
頭上高くを木々の葉が包み風の吹き抜ける散歩道は
静けさの中に木の葉のざわめきや鳥の声やちいさい生き物の足音が聞こえてきて
その全体が都市空間や青空の下とは違った室内的な場所性をつくり出しているように思う。
かと思うと
茂みから突然麓の街並みが見えたり
大きな木漏れ日から抜けるような青空が見えたり
道中のいろいろなところで偶然外部に出会う。
そのような体験が密集住宅地の中でつくれないだろうか。
明るい大きな屋根にやわらかく覆われた半外部が連続していながら
階を登るにつれて様々な場所で外と出会う。
隣地からの視線や隣家の存在感を適度に消しながら
敷地の様々な方角や高さから見えるいろいろな外をつくれたらいいと思う。