水のように揺らめくストラクチャー
水のようにゆらめくストラクチャー
空間に建つ壁を、自立できる限界の薄さで建てることで
自然の風や人の動きで出来る気流にさえ影響を受けてゆらぐ
水のようなストラクチャーをつくりたいと考えた。
壁は厚さ0.25mmのフィルムであり
水のような反射と透明性を備えるために
アルミ蒸着フィルムを貼っている。
見る位置が自然光の入る明るい場所だとフィルムは鏡のように周囲を映し込み
逆に暗い位置からフィルムを通して自然光の入るスペースを見ると透明に透けて見える。
フィルムのボリュームの周りを歩くとき空間の中に存在する照度の濃淡を反射と透過によって経験する。
また床との接地部分は固定されているのでゆらぐことはないが、
壁の上端部分は自由端になっているため最も気流の影響を受けてゆらぐ。
その応答の様子はテーブルの上にこぼれたときの水の挙動のようでもあり
また、海の中で水流に揺れる海草のようでもある。
自然がつくり出す造形はいつも曲線であり
揺れ動く不安定さがあり
時間とともに形が変わってゆく。
建築という人工的な行為がつくり出す造形物が
極限まで薄いという今までのストラクチャーには無かった
新たなスケール感を与えられることによって
自然物の在り方にすこしでも近づければ
空間の定義がやがて変わっていくのではないかと考えている。