KOWA PUBLIC APARTMENT COMPLEX IN MIHAMA
「積層団地から平屋木造団地へ」









KOWA PUBLIC APARTMENT COMPLEX IN MIHAMA
「積層団地から平屋木造団地へ」


愛知県知多郡美浜町に建つ町営団地の建て替え計画。

10棟からなる河和団地は、そのうち耐用年数を経過したPC造2階建ての6棟が対象となり

今回は第1期としてその中で3棟が解体し建替えられた。

1950年代に建設が始まった積層型の団地は、縮小化が進む現代の日本にはオーバースペックであり

空室が目立つようになってきていたため、

建替えに当たっては住戸数を減らす代わりに地面に近くて子育てしやすく

高齢者にも対応できる生活の場を用意しようということになった。

美浜町は細長い知多半島の先端近くに位置し海辺の好環境にあるものの

都市圏から離れている立地もあって近年は県平均を上回る人口減少に悩まされており

子育て世代の支援や町外から移り住みによってそれに歯止めをかけたいという町としての願いもあった。

敷地内を抜ける路地には各々の棟の大きな軒が掛かり、プライベートな領域とパブリックな領域をあいまいにしている。

路地に対して周る縁側は路地から内部空間に距離をつくりながら隣人を迎える玄関先にもなる。

対角線上にコア(個室,水回り)を持つ4方開放のリビングと縁側とを連続させ内部の生活が外に溢れ人との関わり合いを持ちやすくすることで

積層団地に生まれにくかった内側の生活と外との関係を緩やかに溶かし戸建て住宅と集合住宅が混ざったような環境にできたらと思う。

居住者が高齢化・定住化する団地にあって、いま10世帯中、子育て世帯が8家族、町外からの移住世帯が1家族住んでいる。

入居から3か月が経った先日、団地に立ち寄った。

女の子が庭で赤ちゃんを抱っこしてあげていたが、それが隣のお宅の赤ちゃんだと後から知った。

敷地内の2軒の家族同士(お母さん2人と小学生3人)が1軒に集まりちょうど遅めのランチを食べるところだという。

そのうち1人の女の子がお母さんに頼まれて多めに作った茶碗蒸しを1軒先の別の家族に届けに行った。

軒下の路地であるお宅のお母さんと話をしていたら別のお宅の男の子が小っちゃい自転車でその間を走り抜ける。

大きな軒下と既存団地の隙間を縫って、海風とともに新しい世帯の子供たちの声が吹き抜けていく。