地域に開かれた展望テラスを持つ美容室










地域開かれた展望テラスを持つ美容室


水と木に包まれた各務原

岐阜県各務原市に建つ新築の美容室の計画。

各務原市は、北側に日本三大清流のひとつ長良川、南側に名水百選の木曽川が流れる立地にあり、

その水脈の内側に「学びの森」、「自然遺産の森(森林自然公園)」、「各務原アルプス 日本ラインうぬまの森」などがあり、水と木に包まれた地域である。


豊富な地下水の利用と建築を囲む小さな森

この地域は伏流水(地下水)が豊富だ。各務原市の水道水はなんとすべてを地下20〜40mから汲み上げた伏流水(地下水)で賄っている。

水は、海水が蒸発して雲となり、陸地に雨を降らせ、川となって海へ戻り浸透して地下水になり、湧き水として地表面に湧き出る、という循環にある。

敷地付近は地下20mに帯水層があると予想されたため、井戸を掘削し、地域の資源である地下水を大きな水の循環の一部として水盤という形で地表面に表出させたランドスケープとした。

水盤へは定期的に無償の井戸水が自動注水され、建築を取り囲むように植えられた「小さな森」への注水にも利用されている。

「小さな森」の樹々はガラスで覆われた内部空間に適度なプライバシーを与えながら、内部空間や上階の屋根テラスに景観と木漏れ日を与えてくれる。


小屋裏を開放し、みんなのテラスをつくる

1階には受付、カットスペースなど美容室として必要な機能を配置する。

片流れ屋根でできた大きな屋根裏空間を人が登れる場所にして空間化し、全体を屋根の架かった外部空間として2階テラス層とした。

機能で満たされている室内の1階に対して、2階は美容室の待ち時間にお客さんが利用したり、美容室のスタッフさんが休憩時に利用するなど、みんなが自由に使える。


壁がまったくない「ガランドウ」〜2階の半外部テラス

2階は壁がまったくない半外部テラスとなっており、風や光、地上の植栽の枝が入ってくるような開放的な場所になっている。

駐車場に面した長手方向の耐力壁を不透明な壁でなく木筋交いとすることで軽快な空間とした。

短手方向は片流れ屋根の登り梁を筋交いの代わりの斜材とすることで、長手空間を区切ってしまう耐力壁を無くした。

水下側長手方向は柱を通し柱とすることで柱が曲げに耐えるため筋交いを省略できている。